フランスの交通法規

2022/4/14
日本の運転免許証保持者は、自動車の運転に際して携行することが求められる以下の書類を揃えればフランスで自動車の運転をすることができます。
● 運転免許証
● 自動車登録証(carte grise)

  ※ 住所が変わった場合には、住所変更手続きが必要です
● 保険証
  ※ 緑色のステッカーをフロントガラスに貼っておくことも義務となっています
(10歳以下の子供が乗車する場合)チャイルドシート



しかしながら、両国の道路交通事情は異なりますので、フランスの基本的な交通ルールを知らずに運転すること危険です。
フランス生活が既に長い方でも、運転をしながら疑問に思うような場面に遭遇することが少なからずあるのではないでしょうか。そのような事情を踏まえ、当地で自動車を運転するために最低限知っておくべきであると思われる事項を、日本の交通法規とは異なる部分を中心に当館にてまとめましたので、参考としてください。
  なお、交通法規は不定期に改定されますので、最新の交通法規はフランス当局のホームページ等から確認してください。

道路標識・標示

日本とフランスでは道路標識・標示が多少異なります。以下が主な例です。

優先権に関する標識

交差する道路を走行する車(左右いずれの方向からでも)に道を譲ることを義務づける標識   その先に見晴らしの悪い交差点があることを知らせると共に、右側から出てくる車に対して道を譲ることを義務づける標識

上:自車の走行する道路が優先道路で、交差する道路に対して左右を問わず優先権を持つことを示す標識
下:交差点の度に標識が設置されてはおらず、優先権の消滅する標識
  交差点において、太い線で描かれた道筋を走行する車に優先権があることを示す標識。

警戒標識

右急カーブに注意 スリップに注意 横からの強風に注意

規制標識

車両通行止め 追い越し禁止 最低速度 バス専用

案内標識

ツーリストインフォメーション ホテル 病院

【参考】道路の種類の略称
E: 欧州道路(Européen)
A: 高速道路(Autoroute)
N: 国道(National)
D: 県道(Départemental)

右側優先

日本で信号も標識もない交差点では左側から優先的に通過するのと同様に、フランスでは同じ状況で右側優先となります。しかし気を付けなければならないのは、その優先度が日本に比べてはるかに大きく感じられることです。

通常フランスでは、大きな通りと小さな通りが交差する信号のない交差点には、どちらの通りに優先権があるかを示す標識が立っています。しかし、標識がない交差点では右側優先の法則が適用されるため、日本では考えにくいことですが、自分が大きな通りを直進しているにも関わらず、右側の小さな通りから自動車がスピードを下げずに飛び出してくるという事態に遭遇します。非常に危なく感じられますが、標識がない以上これは交通違反ではありません。従って自分が大通りを直進しているときでも、常に交差点から飛び出してくる車に注意を払う必要があります。

ただし、逆の立場になったとき、右側優先の法則があるからといって、標識がない場合それをいいことに小さな通りから大通りへ左右をよく確認もせずに突っ込んでいくのは大変危険です。いくらフランス人が右側に注意を払うことに慣れているからといって、大通りを走行中の全ての運転手が、交差点に差し掛かる度に進入車がないかスピードを落として確認しているとは到底考えられません。

円形交差点でも同様のことが言えます。進入車優先・走行車優先と2種類の円形交差点がありますが、侵入車優先(パリ市内の多くはこちら)の場合、自車の右側から車が侵入してきます。従って右側に常に注意を向けていなくては危険なのですが、前方をおろそかにすると前の車が急停止したり、左側を全く見ないでいると無謀な車が猛スピードで自車の前を横切っていったりするので、円形交差点を運転中は普段にも増して集中力が必要となります。

高速道路では、通常は進入車に優先権がありません。それは各都市の環状道路でも同じです。ただし唯一の例外があり、それがパリ外周環状道路(Boulevards Peripheriques)です。こちらは右側優先の法則が適用され、進入車優先となります。従って一番右側の車線を走っていると、入り口がある度に進入車に道を譲らなくてはなりません。

また、繰り返しになりますが、自車が進入する側である場合、左手に注意を払わずに本線に突っ込んでいくことは相当な危険を伴います。パリ市の住民だけがパリ環状道路を利用しているわけではありませんし、そもそもこの例外をどれだけのパリ市民が知った上で運転しているのか不明です。

なお、信号及び標識がないという上記の条件に当てはまるといっても、以下の状況では右側優先とはなりませんのでご注意下さい。
1. 駐車している状態から発進する場合
2. 側道から通りに出る場合
3. 車線変更をする場合(車線変更をする車は、移動先の車線を現在走行中の車に対して一切優先権がなく、その進行を妨げることは許されません)

バス専用車線

パリ市内では、バス専用車線(一番右側)が確保されている通りが多くあります。
バス専用車線を通行できるのは、バス、タクシー、救急車のみです。
一般車線とバス専用車線の境界が物理的に分けられている通りにおいて、右折する場合であってもバス専用車線には侵入できません。交差点では一旦停止し、右側を走るバス等をやり過ごしてから、右折する必要があります。
なお、バスが停留所から発進しようとしている場合は、バスに優先権があり、発進を妨げてはなりませんのでご注意下さい。

交差点

左折

フランスにおいては、左折する場合、特に道路標示等による指示がなければ対向車をやり過ごしてから曲がります。
下図を見て確認して下さい。 
フランス 日本
 

渋滞した交差点への進入

渋滞等の理由により、交差点の中で自車が止まってしまう可能性がある場合は、たとえ青信号であっても交差点の手前で停止することが義務付けられています。
上記の規則を遵守して交差点前で停止すると、後ろからクラクションを鳴らされたり、割り込まれたりしますが、道路交通法違反ですので、注意してください。

円形交差点(rond-point)

凱旋門のあるエトワール広場に代表される円形交差点は、フランスに多くあります。
円形交差点においては、走行位置から左右のいずれかに車線変更する場合には、ウィンカーを出して、後方から来る車と衝突する危険がないことを確認した上で車線変更しなければなりません。
さらに、右側優先(進入車優先)の円形交差点では、入り口がある度に右側から車が一定のスピードを保ったまま円形交差点内に侵入してくるので注意が必要です。

円形交差点には、「進入車優先」と「走行車優先」の2種類があります。
・進入車優先の円形交差点には入り口に標識がありません。つまり右側優先の法則が適用されるわけです。パリ市内の多くの円形交差点はこのタイプです。
・走行車優先の円形交差点の入り口には、優先権のないことを表す標識が立っています。地方ではこのタイプを頻繁に目にします。

円形交差点に進入した後、円形交差点内を走行する際のコツは以下の通りです。
1. 入った入口から見て、正面奥に位置する道路までに交差点から出る場合は、交差点の外側を進みます。
2. 正面奥より先の交差点から出る場合は、交差点に入ったら中心に向かって進み、内側を回ります。

信号

フランスには複雑な形をした交差点が多くあります。複数の信号機が異なった表示をしているので、自分に関係のある信号のみを素早く見分けて、それに従って運転する必要があります。
また、右折もしくは左折した直後にまた別の信号があって停止しなくてはいけないということがあります。 例えば、日本で十字路を右左折した直後に横断歩道があって歩行者が道路を渡っているような状況では、歩行者をやり過ごした後に自車を進めることができます。 しかし当地ではその横断歩道の直前に赤信号があり、その信号が青に変わるまでは進めないということが頻繁にあります。日本にいる時の感覚で運転していると思わぬ信号無視を犯してしまうことがあるので注意しましょう。
点滅している赤信号がある場合、日本では一時停止の後、安全が確認できれば進んで構いませんが、フランスでは点滅が消えるまで停止していなくてはいけません。踏切前、飛行場付近、可動橋の入り口、消防署前などに設置されています。
なお、当地では歩行者はまず信号を守らないと言っても過言ではありません。車の列が途切れると、赤信号でも道路を渡り始めます。いつ歩行者が飛び出してきても対処できるように、市街地ではスピードを抑えて走行することは当然として、常に道路の両脇の歩行者にも気を配るようにしましょう。

駐車

縦列駐車
当地の道路を歩くなり、運転するなりして、まず最初に驚くのは道路脇にびっしりと隙間なく並んだ縦列駐車の列ではないでしょうか?日本では考えられないことですが、前後の車に自車をぶつけてもフランス人は平気な顔をしています。
狭い道路で縦列駐車を試みる際、日本人の感覚では後続車を待たせるのが悪いと考えて諦めてしまうような場合でも、フランス人は何の気兼ねもなく後続車を待たせながら悠々と縦列駐車を始めます。また、お互い様と思っているのか、後続車もよほど時間がかからない限りクラクションを鳴らすこともなく後ろで大人しく待っています。 縦列駐車をする際は、スピードを落として駐車の意図があることを後続車に伝え、駐車スペースの手前で一旦停止し、ウィンカーで意思表示をして、後続車が停まったことを確認してから駐車に取りかかるとスムーズにいくようです。 反対に、自車の前方をそれまで普通のスピードで走っていたのに駐車スペースを見つけるや否や急停車する車がたまにあります。このような車に追突しないために車がスムーズに流れているときでも前方には常に注意を払うことが必要です。

駐車制限

駐車については、以下のような制限があります。
 

片側駐車

フランスでは、通りに沿って片側が奇数、反対側が偶数となるように番地が振られており、毎月1日~15日まで奇数番地側、16日~月末まで偶数番地側にしか駐車できないという制限がある街があります。
 

 
ZONE BLEUE
左の標識等があり、通常路面に青い線で区分けがなされている駐車スペースはZONE BLEUEといいます。9時~19時まで、1時間30分を限度に無料で駐車ができます(11時30分~14時30分の間は無制限)。利用する際は、市販の駐車時間表示板(文房具店papeterieで購入)を駐車開始時刻に合わせて、フロントガラスの内側に置く必要があります。
有料駐車スペース
左の標識等、あるいは路面に"PAYANT"という標示がある場合、それは有料の駐車スペースであることを意味します。近くに設置されているパーキングメーター或いは駐車券販売機の指示に従って料金を支払います。専用の支払い用カードが必要な場合はタバコ屋tabacで購入できます。
 

リブレゾン(配達車)専用駐車スペース

曜日、時間帯、リブレゾン用スペースが確保されている理由(病院のためか、スーパーの販売品搬入のためか等)を問わず、いかなる時も同スペースへの一般車の駐車は認められていません。

バスの停留所

リブレゾン専用駐車スペース同様、バスのある曜日・時間帯、ない曜日・時間帯を問わず、いかなる時も駐車禁止です。

バス専用車線と歩道の間にある駐車スペース

このような駐車スペースを目にすることがありますが、これはタクシーが走行中に故障した場合などの避難用のスペースであり、そもそもバス専用車線に進入できない一般車に同スペースに駐車する権利はありません。

速度制限

特に標識がない場合の速度制限は以下の通りとなっています。
  通常の状態 免許取得2年以内 雨等天候不良 視界50m以下
高速道路 130 km/h 110 km/h 110 km/h 50 km/h
中央分離帯のある道路 110 km/h 100 km/h 100 km/h 50 km/h
街中を除く他の道路 90 km/h 80 km/h 80 km/h 50 km/h
街中 50 km/h 50 km/h 50 km/h 50 km/h
※ ただし、パリ環状線は70km/h、 パリ市内は別に定められていない限り30km/h

飲酒運転

フランスの道路交通法によれば、血液中のアルコール濃度が0.5g以上の場合、自動車を運転することはできません。
警察はドライバーに対しアルコールテストを要求することが出来、テストを拒否したり、あるいはテストの結果飲酒運転とみなされた場合は、アルコール濃度等に応じて刑罰が科されます。 詳しくはフランス政府の案内をご確認下さい。