マンゴーのコンポート クロロゲン酸とテオブロミンのアプローチ ~花畑~

今回は、デザートを取り上げます。
当国にて外出制限が緩和された初夏にお招きしたお客様に提供したデザートです。
このデザートを完成させるまでの料理人の考えを表すと、以下のようになります。
・マンゴー × コーヒー × リュバルブ × カカオ。
・ミントアイスパウダー × セルフイユアイスパウダー。
・カカオパウダー × メレンゲ
・季節 × お客様の縁 × 遊び心
・甘味 × 酸味 × 苦味
・テオブロミン × カフェイン × クロロゲン酸 × ナリンギン
マンゴーのコンポートをマンゴーとコーヒーのジュレの中に閉じ込めました。
フレッシュなマンゴーやコーヒー風味のクロッカンクッキー、リュバルブのソース、カカオ風味のパウダー、ミントとセルフイユの2種類のアイスパウダーなどを使用しています。
円を基調に仕立て、旬の食材や盛り付けで季節感を出し、黄色い花が咲く風景も演出してます。

マンゴーは、主賓のお客様が子供の頃から召し上がっているそうで、食べ慣れている懐かしい食材。
それに合わせて、風味の奥に共通点のある"コーヒー"、そして、コーヒーと似たニュアンスであり、少し違う角度からのアプローチとして"カカオ" 。
コーヒーも、トロピカルフルーツに似た甘味で、苦味も比較的角が無く、酸味や風味は赤や紫のフルーツのニュアンスのある、ケニア産のコーヒーを使用しました。
さらに、この時期徐々に出始めたリュバルブで季節感をさらにプラス。
リュバルブコンポートベースのソースを添えて甘みをマンゴーに寄せ酸味はコーヒーに寄せました。
盛り付けでは、花畑や花壇をイメージしています。
中心に目立つ、その他の色を円状に置き目線を集め、周囲を丸く囲む事により、俯瞰的な目線から360° 花に囲まれている様な印象を与えます。
円形のマンゴージュレの中には、種や卵の様な新たな命を連想させる球体、丸くくり抜いたマンゴーのコンポートを忍ばせています。
また、花の様に包んだフレッシュマンゴーは螺旋状に。
自然界に多く存在する螺旋状は、無意識のうちに創造性や生命力を印象として脳に訴えかけるので、こちらも花の開花や季節の移り変わりのテーマには新しい形のアプローチだと思います。
このように、盛り付けのイメージや素材の形など、様々な事に意味を託して提供しています。お食事の中で少しでも相手に伝わり、外交関係の深化に貢献できればと思っております。
今は、この様な状況で、家庭外での食事は難しいですが、皆様も、どの様な形であれ、楽しいお食事の中で何気ない盛り付けや演出など、少しでも何か受け取れたら、より有意義なひとときに、なるかもしれませんね!