子の親権問題・ハーグ条約

令和8年4月1日

フランスと日本の親権制度

 フランスにおいて、多くの日本人の方が配偶者・子ども等の家族とともに生活されており、その一部において、配偶者との間で婚姻関係・親権行使等に関する問題が発生する事例が見られます。特に、親権行使の問題においては、日本とフランスとの間で親権制度が異なる(日本の改正前民法では父母のいずれか一方のみを親権者と定めることとなっていたもの)ことにより、問題が複雑化し、子どもを同伴して日本へ一時帰国することが困難となるなどの支障・不利益が生じるケースも確認されていました。

 このような背景の下、2026年4月1日付で民法等改正法(2024年5月に成立)が施行され、同日以降、父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました。当該改正に伴い、改正されたルールの一つとして、父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになったほか、親権行使方法及び監護に関するルールが明確化されました。その他離婚後の子の養育に関する様々なルールが改正されたところ、これらの改正により、従来日本人の親が不利益を被っていたケースの減少につながることが期待されます。
 なお、これらルール改正の詳細については、以下のリンクからご確認願います。
 
 法務省ウェブサイト関連ページ:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
 
 パンフレット(日本語):https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdf
 パンフレット(フランス語):https://www.moj.go.jp/content/001449163.pdf
 
 また、フランスの親権制度等の概要は以下のとおりです。

 

1. 離婚・離別後の親権

 フランスにおいては、両親が結婚していても、民事連帯契約(P.A.C.S.)の関係にあっても、また、事実婚の関係にあっても(子どもに対する認知があれば)、親権は両親が行使するのであり、離婚や離別があっても、原則として共同親権のままであり(民法典第373-2条)、両親と子どもとの関係は維持され、両親は互いに他方の親と子どもとの関係を尊重しなければなりません。
 

2.離婚・離別後の親権の行使

 フランスでは、離婚・離別後も原則として共同親権が維持されますから、離婚・離別後に、子どもと生活を共にしない方の親と子どもとの関係は、「親権の行使」という観点から重視されます。

 例えば、子どもと同居しない親は、当然相手(子どもと同居する親)の居住地を知る必要があります。したがって、子どもと同居する親が住居を変更する場合は、変更後の居住地を、他方の親に告知することが義務付けられています。住居変更について折り合いがつかない場合は、裁判所が調整を行うことになります。変更の通知は、民事上の義務にとどまらず、離婚・離別後、未成年の子どもと同居する親が、住居変更を他の親に伝えない場合は、親権行使を侵害したとして、刑事罰(6ヵ月以下の拘禁刑又は7,500ユーロ以下の罰金)を科される可能性があります(刑法典第227-6条)ので、注意が必要です。
 

3.いわゆる子の連れ去りの問題

 フランスでは結婚中又は同居中、一方の親が他方の親に無断で子どもを連れ去る行為は、親権行使の侵害に当たるとして犯罪とされており、1年以下の拘禁刑又は1万5,000ユーロ以下の罰金に処せられる可能性があります(刑法典第227-7条)。夫婦間の折り合いが悪くなった場合に、父又は母が、他の親の承諾を得ることなく子どもを連れ去り、別のところで子どもと生活を始めた場合、子どもの連れ去りが暴力等を伴うことなく平穏に行われたとしても、他の親の親権行使を侵害する犯罪であるとみなされます。

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)

 

 

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)(外務省HP) 

 

 



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